節酒か完全禁酒か
「もう一生、一滴たりとも、お酒を飲むことができない」と思うと、不安にかられるのではないですか? パニックに陥っていませんか? 私もそうでした。私のクリニックを訪れるセラピー受講者とも、次のような会話をよく交わします。 アレン・カー『禁酒セラピー』p150 #kinsyu
受講者「アレンさんは今でも時々飲みたいと思いますか?」
私 「いいえ、全然思いませんよ」
受講者「時々飲みながらもお酒に依存しないでいることは可能ですか?」
私 「私はできますよ。でも飲みたいという気持ちは完全になくなりましたから、やってみようとは思いませんね」
受講者「時々飲みながら依存しない方法を教えてもらえますか?」
私 「もちろん、いいですよ。お酒だけじゃなくヒ素を飲んでも依存しない方法だって教えてあげられますよ」
受講者「ヒ素なんて飲みたいと思いませんよ」
私 「そう、そこがポイントなのですよ」
ここでたいていの患者さんは「なるほど」と思うわけです。楽しみとか心の友とか人生の支えといった先入観を捨てて、お酒が本当は「破壊」という名の毒なのだと納得できれば、「もう二度と飲めない」と言われても不安は感じないのです。 アレン・カー『禁酒セラピー』p151 #kinsyu
二度と飲めないという「不安」が、二度と飲まなくてもいいという「喜び」に変わった日のことを、私は今でも覚えています。大きな黒い雲の影から太陽が差し込み、いままで暗くて寒かった場所が突然明るい陽だまりに変わったような気分でした。 アレン・カー『禁酒セラピー』p151 #kinsyu