お酒が作る葛藤

薬物は、「意志の力」でやめられるものではありません。たとえやめられたとしても、残りの一生を薬物に囚われながら生きていくことになります。人がタバコに火をつけるのは、つけたいという気持ちがあるからです。

 

私の禁煙プログラムでは、その気持ちを永遠に取り除くことによって、多くの人々をタバコの罠から救い出してきました。バスに乗る気がないからバスに乗らないことに、意志の力は必要ないでしょう。お酒についても同じことが言えます。

 

ここで重要なポイントは、アルコール依存症の人の心が、精神分裂症的な状態になっているということ。誰もあなたに飲酒を強制しないのですから、あなたの心のどこかに「飲みたい」という気持ちがあるはずです。

 

一方で、「飲みたい」という気持ちと同じくらいに「飲みたくない」という気持ちも存在するのです。

 

もう一つ重要な点。それはお酒は化学物質ですが、飲酒の問題自体は心の問題であり、問題解決には心の治療が必要だということ。心の中の葛藤を取り除けば、お酒はやめられるのです。 アレン・カー『禁酒セラピー』p142