「酒の神」とケインジアン

昨年の同業者の会合のスナックでの二次会で、自然に不景気を嘆く話題になりました。その時、取引関係の運送会社の社長が「こんな所で景気の話をするんじゃねえ」と啖呵を切るので、「飲み屋で景気や政治の話をするのは、タブーだよなあ」と相槌を打ちつつも、余りの剣幕に「何かあるな」と思いました。

 先日、新聞を読んでいると、政府の公共投資が増えて、運送業よりも条件が良い建設業に人手が流れてしまい、運送業ではドライバーの人手不足状態になっているそうです。スナックでの社長さんの剣幕には、ドライバーの不足が実情としてあることが分かりました。 政府の公共投資は景気刺激を目的とするケインズ的経済政策ですが、運送会社の社長の景気判断をみる限り、政府のバラマキは景気回復の足を引っ張っているとしか思えません。

 ケインズマルクスが好きなこの国の学会や政界は、運送会社の社長さんが指摘する現実を無視するばかりです。なんと言っても、ケインズ型バラマキのニューディール政策は、越後屋と悪代官の世界ですから、アル中の政治家や政商みたいな連中が「酒の神」に洗脳されてやる悪政の世界です。

 

 「ケインズがイギリスを駄目にした。」      マーガレット・サッチャー 英国元首相

 

 マウスの実験で、一匹はアルコールを飲ませ、もう一匹には飲ませなかった場合、お酒を飲まないマウスは朝に出された食事を半分残して、夕食に残りを食べる普通の行動が出来ます。しかし、お酒を飲んだマウスは理性が働かず、衝動的行動の抑制が出来ず、全ての食事を一度に食べてしまいます。

 「酒の神」が統治する某国では、アル中の為に目先の報酬を追う大衆に支持されたリーダーが君臨し、そんな政治家は「酒の神」の洗脳によって、ケインジアンに成らざるをえないのです。つまり、仲間内で酒を飲みながら、「あの汚職政治家はけしからん」とグチっている人々は「酒の神」に騙されています。

 「酒の神」が統治する国では、政治家から大衆までお酒の奴隷とされ、「ケインジアンに非ざれば人に非ず」みたいな空気が蔓延してきます。その結果、 「リベラルな政治が行き詰まると、ファシズム(国家社会主義)が台頭してくる」  ーー経済学の常識が教える「戦の神」による破滅が訪れます。

 

私達が解決すべき問題は汚職政治家ではなく、政府に寄生する政商でもなく、彼等を洗脳しコントロールしている「酒(=戦)の神」です。